駄歌を重ね月に思いめぐらす恋と歌の戦記



 歌を歌うのに理由は要らない。歌う時がある、それだけである。そいで、どんな時かって、つまり、成功した時、失敗した時、それ以外の全ての時、結局毎日歌っとんやないけ? と自分突込みしつつ、寒! 月に歌えば、唇寂しいので、ニャー君に拒否られた紅茶花伝を飲みながら、8月の夏休みまでの気に入った歌を下に発表させて頂きたいです(拙作は実のところこの他に五万とあるのでそれなりに厳選したものなんですよ)。と言ってもここに来る人は滅多にいないと思うので、自分で読み返して感慨に耽る位の成果があれば僕なりに充分なんです、本当は。今日までの歌は大体好きな順番の並びです。ああ、それから、それ以降の歌は何となく今後都度都度書き足していくつもりです。






旅に出よう船出せし湖に笛は捨て耳澄ませば波物語囁く

真理とは何か真理とはおのが前に立つ者なりとつとピラト悟る 

元気かい「ノルウェイの森」を突き返しこんな本駄目と涙震わせし君

燃えようとする北欧の森に僕をおいて口笛を吹いてあの部屋に帰るのは君

その笑顔止まれお前は美しい鼻歌で鳴らせルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド

祭壇の火は消ゆ口笛秘やかに鳴らし旅立てトニオ・クレーゲル

幼き日高槻の祖父を春に夏に訪ねし旅は従姉見初めおりし故

こんにちは悲しみよその次に来る楽しみよここを過ぎて巡り会いの市

アウシュビッツは何処にもなくこの胸にある魔法陣夢見る時心せよ

君よ知るやスエーテンボルグ惑星に飛びしを天国あらば明星の光の中に

アンコールワット伽藍絵図より地に降りし君は十億分の一の奇跡

娘二人電球の下声潜めしは僕の手ふさぐフーリエの古き呪文

結婚式の君は綺麗だよ手を引かれ祭壇にやるその凝視にふと醒める夢

革命は個の自由篝火で拓くはず盾の壁足の柵樺美智子ほふる

口笛が止み裏通りには音はなし泣いて第九を吹き尽くせれば

共時性君が両腕開く時もしかして地球が一瞬僕抱き締めるかも

「ずるしていい?愛してる」ってテレパシー大丈夫君は心で待つだけの役

マルクスは楽園追放で咎のない言いがかりを人に課す真理は何処に

わが道はチョモランマの尾根に張る一ルートのみ挫ければ地獄

誰かさんと誰かさんがミートインザライけど僕待つのは君だけやーん♪

ガンジスとメコンの狭間を飛びし子よ待て善きことは足元にあるっつうの

忘れるなホワイトデーの帝国ホテルのチョコレート次に大事なあなたの誕生日かな

ミラボー橋の下幾度となくすり抜けて目で合図するのが吟遊詩人の常習犯

星告げし運がいい日と悪い日と笑顔の意味は謎でなくいつも予感

猟銃でヘミングウェイのように劇的な自殺を遂げたい何もない

太陽が空に昇りて恋歌が風に溶け込み君微笑めば幸せな僕

荒地を見よ君歌う空その彼方死せるクルツは指さして笑う

戦車行く湾岸危機の速報をボーイが告げしセントルイスの宿

ブルーノにカンパネッラに文藝復古の曙は無限宇宙の謎告げしか

フロイトは人の心に闇を見し閾の先に咲く花あるを知らずか

赫奕たる逆光映ゆる駅前に若き日の僕ら挨拶なくゆくただ百代の過客

遣欧使節にて博文はハルピンの狙撃の幕を直観せし東亜圏覇権に波乱ありきと

幾千の生首を投げ捨てしメコン河ポルポトの目に赤く映りきか?

タイトな未来に夢!嘆くまいとっぷりと暮れても今日はこの掌の中

「悲しいキッスはまだこの胸にあるよ」と歌う君若き日の過ちと僕の知らない僕

シェスタコビッチ「革命」の楽想憂国を告ぐ君去りし後ただシンバル響く

不知火の燃ゆる炎は若き日の長き旅の終りを示す標とぞ思え

茜の花の隣に息吹し蕾そは物語の中にいる君

光震え世界の核が匂い解き放つ契機こそ歌の成り立ち

とっぷりと暮れても僕は嘆くまい幸福を返せババロアを返せ

ナッシュ説く普遍の解とは「僕」でなくその前に立つ「君」の影法師

ねえ僕が異次元に消えたら後を追い僕に真実知らせにきてね

異界論やまんばの家に灯点まらば永遠の人の血に染まる畳

カンボジアかの国の先行き危なき打つ手なくソームトーとはご免なさいのこと

花が出る帽子の手品現身に生くる限りにふと漏らす笑み

即興の雲雀の歌を口笛で奏でたる午後二月春待つ

サンディアゴよ森に雨降り首吊りし君の記憶にはまだ鬼宿る影

泣く程の強靭な感情に揺さぶられエリナー・リグビーは棺で歌う

東シナ海を染めし赤き五星紅旗動脈に澄む東洋の虹

ムンバイが集めし青き血亜大陸の静脈に澄む南洋の虹

中原は13億の民が眠る街帰る人あらばその夢尋ねん

かぐや姫の切り落とされた竹の節よやいば裂きしは月の恩寵

若き日の影集めたるカールツァイス今宵問いしは君生きし光

ユダさししオリーブの油の丸き火がつまずかせしミカエルの踵

大河見し夜半の寝覚めの目に溢る信長呪う姫の面影

板チョコの悲しき別れよ帝釈天寅次郎の手にさくら委ぬる

菓子食えば時過ぐるなりみな同じ緑の庭に座して戯る

結婚せし女優の軌跡追うWebで泣き笑いおるは演技の果て

タイプ違う男二人にひかれてるまりやが歌うスローバラード

グリム語る塔より溢る金髪を伝い降りしは魔女か聖女か

満州の民二百万が空仰ぎ流れ星追う彼方ハルハに

驟雨呼ぶ頬打つ風がシャツに染む物干しの彼方日はまた昇る

ポニーテール僕らの恋を焦がしてるリン・チーリンのシュシュ解く手が

ディパーテッド裏切りの弾はこめかみに薬莢が飛びFINありか

現代の悲劇帝露の姫君独り生き残りしは当代のロマンかも

小室負う負債総額にバブル去る風の吹き止む日遠く思えし

本当の幸せって何砂時計止まったまま彼女の記憶

大いなるパーンは死せりヒベルニアの海夜は波打つ西行きし旅

ビスマルクに鄧躊躇せし鉄血の船禁断の尖閣に夢馳す

生きてれば巡ってくるさ幸運の星の伝説ハレー彗星

舞い降りた鷲は寒村で犬死にすこの特攻は暗殺に届かず

長雨せし前髪濡らす夜の記憶尋ねし声に答えの氾濫

正義とは世界と君との戦いでとカフカはぼやくど何支援せよと

ナチス悔ゆ殺戮の罪と絶望を撃て知るかいと英雄が叫ぶ

中国姓の友持つ子に船長の釈放告げし時壊れし何か

天馬空を駆けし昔に君が名を教室で知る今悲歌響く
 
豆腐屋のラッパ黄昏に吹きわたる秋悲しくてヴェルレーヌ読む

エリザーベト流れる雲のごとくに気高き君よ語れとは何を?

思い出は美しすぎるけどもう一度鳥のようには泣けないかもね

気が合うのって怖い位ひかれてく君黒髪に霜が降るまで

戦艦に投げつけられし生卵扼殺されしヒナは黄金の涙

デミアンの声は鳥になって君が聴く世界が終る幻聴は風

雲雀歌う井戸の底にて耳に染むフライトソングは独り身の涙

人間失格誰もが一度来る道どん底で泣け女神笑うまで

入水せし恋人に問わば声波に消ゆねえ君はどこ

黄金のまどろみ来る瞼の裏に何を見たいの疲れたる人よ

アジェンデのラジオが告発し軍部の罠革命の火はいずこに点りしか

裏道で手も握らせぬ初恋を笑いし君は冷たい天使

ララバイを歌う聖母が眠るまで月よ地癒せ灯よ街照らせ

サピオをもサピオとさらに思へねば国をも国と何かは思わん

チョムリアプリーア別れ告ぐらば横顔につと笑みよぎるは一瞬の奇跡

生き残りしモヒカンが良いモヒカンとは限らじハウ!恋人よ永遠の嘘を僕にくれ

「落ちてるだけさかっこつけてな」とジェット噴射でアンディ追うバズの勇姿にふと涙ぐ

虐げられし名もなき民の身代わりに独り暴虐の前に身をすつる人あり

チャットから漲りし五感ありありと見出されし過去失われし時

ポアンカレ語るおぼろげな図形からその裏にありし真理見ゆと

天秤座射手座が恵みし善き相性すれ違いつと鳴りしは「悲愴」のみ

海風に惑わされるな憑かれたる人よ帰り請い森は呼んでる

時は満ちた僕問うべきは何今見つめ記憶を探れ闇のリンボ

行こっかって振り向き笑う弾む声信じて二人さあどこに行こ

幻覚かい噂なんて嘘ばっか信じちゃ駄目よ舌出し天使目で笑う

人間の絆は指と指の間に畳み込まれる空の空かな

あなたには経験がないのと君が笑い僕が口ずさむのはニザンの引用

破り捨てし手紙のように耳鳴りする希沙の声河に流れて消えてよ

ジークフリードは竜の血を浴びつと思いしスマイリー・キーボー皆覚えてっかな?

トンボ追いし長渕の心つと思いし不知火の海に巡恋歌届かず

あかね雲まだ見ぬ人に文送る夕幼き頃より思い伝へるのが下手

誰か君にのぼせ上がらばミスせしを君が救わなば誰か救わむ

君姿消えし後お座敷で語り継ごうか人魚姫は海の泡に消えた

いつしか君笑顔忘れ二人にはもうならぬよう僕避けてるよね

ラジオからスローバラードは聞こえない口笛吹いて払う君の記憶

悲しみよこんにちわねえさよなら春雷の人グレートヒェン

知ってるよ日々行き交う旅人の一人に戻るんでしょ君僕センチかな

ソ連の父心理学の父家に入りばななの父が窓に灯点す

持つ層と持たざる層の乖離ゆえ持ざる層は酒で帳尻

手を振れば重なる視線過ぎゆきし君の心に一瞬生きん

虹の底太陽光が闇に届くのと死んだ女が靴木霊させ

サピオをもサピオとさらに思へねば国をも国と何かは思わん

被告席の黒幕が暴れし東京裁判憂国憎みし若き僕今サピオ読む

饗宴と愛の方程式には普遍解君こそ一つ僕の答え

テレーズが皿に盛りしは毒でなく運命ではなく悲しみの肉

「ありがと」に「ムンアイテー」の応酬で言葉震えるたわいなき罠

ソックサバイチアティは二人だけの秘密元気ない君思う僕の空はブルー

アマデウス生に幸あらばそはメンデルスゾーンの曲想たりき痛み噛みしむのみ

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船が出楽隊の笛が響くシアヌーク港僕その安寧に心焦がれおる

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遠く手を振る君の心はプノンペン荒野さ迷う「チョムリアップシーア」

戦雲が二都物語の愛を笑うOK!チャーリー僕は寂しかないぜ

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「缶酎ハイ一杯で五年後におりょうさんになれよなんて言っちゃって大丈夫?」

催涙弾に思想売りし亡者には知りえぬユートピアは確かにありし白雉祭前夜

キムタクがグラサン噛んで後ろから抱く時の台詞俺じゃ駄目か?

この紙は君が読む時すでに燃えてるはず記憶の炎でそっと激しく

静脈の青で空を塗れば天使が叫びながら落ちてくるよ

心にもないこと春日傘くるりそっと後ろ髪に手が触れたら降参

日傘開く私冷たい天使よ朝のキスは口止めの代償

携帯の声記憶に波紋アメンボさんもう一度だけ夢を話していい?

観念の冒険死せるプラトンの馳せし夢の先一が全の宇宙

皆殺しの天使は歌うマルセイエーズ屍を積めその塹壕の底

面影がふと心にめぐる五月闇手の届かない前髪のシャンプーの香

筆奮わば夢は枯れ野を駆け巡る声荒むこともなし荒まざることもなし

散弾のごとき驟雨に闇深しメリーゴーランドの声記憶だけの君

自分らしく生きる意味など何もないマイリトルラバーはリグレットの雨の後

祭壇の火は消ゆ口笛鳴らし旅立てトニオ・クレーゲル

ジンギスカン操りし強靱なる思念は今モンゴルでなく米国にある

失踪せし親友の静脈に血が通い宇宙樹の枝より未来告げし夢

口すさめば壁の底には皆の顔耳を澄ませば君の声と服と髪

滅びゆくアリス・ワンダーランドを飛ぶ鳥よ翼で闇のオリ・トキハナテ

春の夜に「オープンユアアイズ」観し悲しい夢は覚めないでくれ

つんとした笑顔に若き誰かの思い出が希沙は十億分の一の奇跡

ニューヨークで昔死別せしパパに捧ぐこの本の名は「ライ麦」の書

共時性君が両腕開く時もしかして地球が一瞬僕抱き締めるかも

幼き日高槻の祖父を春に夏に訪ねし旅は従姉見初めおりし故

破り捨てし手紙のように耳鳴りする君の声河に流れて消えてよ

怒りせし君の横顔火に向かう幻の女ポンペイの最後

加藤あいが振り返らば秒針刻む3秒間君おりし一瞬

あかね雲まだ見ぬ人に文送る夕幼き頃より思い伝へるのが下手

渦潮を見たしと言えど渦潮は震源地の海口笛で鳴らせ鎮魂歌

もじゃもじゃの君の白き足と足その狭間に何がろうとなかろうと

フロイトは人の心に闇を見し閾の先に咲く花あるを知らずか

異界論やまんばの家に灯点まらば永遠の人の血に染まる畳

金魚は縁日琴魚は春の海奏でてみればきんと身を切る振動音

ショッカーに入りたしといえど入るすべ分からじぼやく僕つと笑いし君

フロイトは人の心に闇を見し閾の先に咲く花あるを知らずか

異界論やまんばの家に灯点まらば永遠の人の血に染まる畳

この陽気な男の生に何があれど幸福だけは家の中にあり

戦塵にまみれる異界魑魅魍魎と幸せの食卓を行ったり来たり

生き残りしモヒカンが良いモヒカンとは限らじハウ!恋人よ永遠の嘘を僕にくれ

携帯の声記憶に波紋アメンボさんもう一度だけ夢を話していい?

面影がふと心にめぐる五月闇手の届かない前髪のシャンプーの香

殺めたる悲しき男の絶望が囚われの檻の中盗人の血を穢す

頭の中の消しゴムさんこれ僕の鉛筆だから他を当たって

ジンギスカン操りし強靱なる思念は今モンゴルでなく米国にある

失踪せし親友の静脈に血が通い宇宙樹の枝より未来告げし夢

心の洗濯にわが病理的メカニズムとのシンクロが切ない程機能

アペフェチは火の神スガル娶る半兵衛救ふカムイはアイヌの響き

秘密とは我慢できぬ人の声が初めて秘密の名を明かす

東尋坊の波間にあぶくかつ結びてかつ消えとどまるを知らずも悲し

県外移転阻み安保前提論迫りしは不審回遊の中国艦艇

人間なんてラララ名もなき失恋の身に降る雨の歌唄いかな

わが心に青い花ありとノーヴァリアス自同律を快とせしデカルトの切なき昔

秘やかに静かに風なき空を降る雪のごとくに君の手は下る

私はパリにいるドゴール首都を奪還トリコロールよ永遠にあれ

いつか世界の全ての弱き生き物達が感謝しながら滅びる日を知る

革命は個の自由篝火で拓くはず盾の壁足の柵樺美智子ほふる

若さとは一瞬の幻のこと現実とは十年の容認のこと今だけを永遠に

口笛が止み裏通りには音はなし泣いて第九を吹き尽くせれば

フェイ・ダナウェイフラッシュバックする気まぐれと切なき最期

皆殺しの天使は歌うマルセイエーズ屍を積めその塹壕の底

脳髄で闇が動いて空が震え開き始めるわが歌の世界

光震え世界の核が匂い解き放つ契機こそ歌の成り立ち

この紙は君が読む時すでに燃えてるはず記憶の炎でそっと激しく

静脈の青で空を塗れば天使が叫びながら落ちてくるよ

遣欧使節にて博文はハルピンの狙撃の幕を直観せし東亜圏覇権にも波乱ありきと

アマデウス生に幸あらばそはメンデルスゾーンの曲想たりき痛み噛みしむのみ

空に舞う禿鷹一羽鍵爪が刺す国の名は茜さすヤパーニッシュ

君叫ぶ隣室の会議にふと焦る成長せし君に気付けば聴き耳

憂鬱など振り払い君も元気出せ愛を知れい恋を知れい

これだから政治はやなんだ結局はそれが大人の解決なのかよ

「ありがと」に「ムンアイテー」の応酬で言葉震えるたわいなき罠

恋人に伝えよ「私ノリピーに目が似てるかも」僕告げし告白

一汗をドア開けながら労う仲ただ意味もなく微笑む二人

つらくとも僕君に問い屈託に手を差し伸ぶるムンアイテーの恋

それがいいことかどうか分からぬが局面は今切り拓かれた

あかね雲手の届く空に飛ぶ幻昔の今日の昨日死んだ恋

働けど働けど生くること楽にならざれど生くるは書くにしかず

局面はそれでいいのか悪いのか訳分からぬが今切り拓かれた

タイトな未来に夢!嘆くまいとっぷりと暮れても今日はこの掌の中

働けど働けど生くること楽にならざれど生くるは書くにしかず

「悲しいキッスはまだこの胸にあるよ」と歌う君若き日の過ちと僕の知らない僕

若き日に「千の夢」にて読み解きし作家の足は今わが足跡なり

道化師の僕君の笑顔に会いたくてペンは走らせてたよ奈落の底で

殲滅せれし農民戦争を裏切ったルターの祈りは地獄から神へと

フッサール曰く現象は幻語り得ぬものが訪れど嘘は嘘なり

旅に出よう舟に乗って笛なんぞ湖底にね波音に暢気に耳を澄ませてよ

アーサー王ランスロットが横恋慕悲しいけれどわが友は兄弟か?

海風に惑わされるな憑かれたる人よ帰り請い森は呼んでる

猟銃でヘミングウェイのように劇的な自殺を遂げたい何もない夜

二千人のアルジェリア移民はパリ騒乱で虐殺されし錯乱の記憶にて

運命が轟音を立てなし崩すリセットの時指の鳴る音

屍を累々と積むキュルトゲン漂う霧は森の吐息か

運命が轟音を立ててなし崩す過去の集積に指鳴す決断の一瞬

決別の時すでに来し君の顔ふと過ぎり去るチョムリアップリーア

鯛焼きの味で記憶蘇る君に譲りし後の尻尾のアンコ

直観と信じて選んだ大切なただ一人の君に初恋人の切なき影  

アウシュビッツは何処にもなくこの胸にある魔法陣夢見る時心せよ

マッカーサーは吹かす煙で新たなる国家開闢に風雲告げしか

悲しみのボナパルティズム皇帝の死を悼む歌楽聖のみが奏で予言せし

録音に僕涙ぐむ声残し無実の罪と身の潔白叫ぶ

誰かさんと誰かさんがミートインザライけど僕待つのは君だけやーん♪

贈られる言葉に添えてそっと出す僕のサイトは夏の虹

人間の絆は指と指の間に畳み込まれる空の空かな

行こっかって振り向き笑う弾む声信じて二人さあどこに行こ

虐げられし名も知なき民の身代わりに独り暴虐の前に身をすつる人あり

マルクスは楽園追放で咎のない言いがかりを人に課す真理何処に

風船の憧れのように気が付けば心のまにまにまだ青春があり

ゲッツーの込み入った話に君の影可愛い人よ永遠の嘘ついてご覧

君に送りしメールの紙面に恥忍び言うべきでない無償の好意ありき

花が出る帽子の手品現身に生くる限りにふと漏らす笑み

塔の上嘆きしジュリアは忘れじの君すくいし髪今宵濃く匂うかな

かぐや姫月の夜の光宿さむカールツァイス今宵朝吹の面影探さん

寝返りしクリスチャンベールが毛布剥ぎ盗りて「腹冷やしたのかな」木曜日

「予知できる?」月辿りして結ぶ糸賢帝の声夢を紡がん

血の雨が骨身に染むるヨンチョンド網膜の肌に飛び込むは閃光のみ

読み解けぬオリビアの歌詞も億劫な午後LDの君うら悲し

生きよとてとて月やはものを思わするノルウェイの森に心燃ゆるかな

月やあらぬ太陽は昔の熱にあらぬ井戸底に永遠の風伝いしも

羊死せる後袖に零るるは何音なき炎に雨月影ぞ争ふ

三百首半年読める戯れ歌を並べて思う恋と歌の戦記

数々の夢途絶えては西新宿オフィス去る夜「コギトエルゴスム」

鯨肉の話がちょいと粋だから四月十日はくじら記念日

井の頭池に捨て石と投げキッス振りかえらずに吉祥寺駅前




                  以上絶唱云十集(数えるたびに増えてるので^^)でがんす。        (終)
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